気とか触れずに投げ飛ばすとか「やらせでしょ」とか~合気道に対するイメージは様々です

2018.8.20  2020.5.21

合気道は、説明が非常に難しい武道だと思います。

合気道に対するイメージ

「合気道の稽古してるんですよ~」と言うと、様々な反応があります。

「よく分からないけど、武道だよね?」
「腕を捻るんだよね」
「相手に触らずに倒せる人って、本当にいるの?」
「あれでしょ。気とか合気とか和合がなんちゃらとか…怪しくないの?」などなど。

伝説の先生方

確かに、合気道の創始者の植芝盛平開祖や直弟子塩田剛三先生のエピソードは、人間離れしていて、実在した人物とは思えないくらいです。
こういう先生方は、命の危険にさらされるような修羅場もかいくぐり、人生をかけて鍛錬して、その極みに到達したんだと思います。

合気道の塩田剛三先生
合気道の塩田剛三先生に勝った体重

すごい人・すごい神業は存在したのでしょうが、そんな神業はめったに見られません。
あちこちで見られたら、それは「神業」ではなく、普通の現象に成り下がるわけで。

合気道を初体験したら

例えば、あなたが道場に無料体験しに行きます。
初めてなので、もちろん合気道に関しては全くの初心者。

体験しても、後ろ受け身・基本技の練習くらいしか出来ないでしょう。
その技も「こう踏み出して、こうしてこう」とよく分からないし、ましてや「一瞬で相手を投げ飛ばす」やり方を教えてもらえるわけもない。

先生はやろうと思えば、あなたのことを「一瞬で床に落とす」あるいは「瞬時に投げ飛ばす」ことも可能です。
しかし、受け身が出来ない相手にそんなことをしたら、怪我させてしまいます。

下手したら死なせてしまいます。
合気道の理念上、そんな形で自分の力を誇示する先生はいません。

そういう意味では、合気道は証明が難しい武道だなぁ、と歯がゆいです。

目に見えるアピール

空手の場合は瓦割りなど、物理的に強いぞ!と視覚に訴える方法もあります。
現代はすぐに効率や成果を求める時代です。
「どれくらい強くなるの?」「すぐに強くなれる?」と質問された時に「〇ヶ月で瓦を割れるようになります」なら納得してもらえそう。

それに対し「相手と勝敗を競うのではなく、心身を鍛えることによって…」と説明が始まると「??よく分からないし面倒そうだから、やめとくか」となってしまいそう。

試合を行う武道も多いですが、合気道は試合しません。(試合を行う流派もあります)
となると、演武会などでしか技を見る機会がありません。

ここで問題なのは、技をかけるのも受ける方も同じグループの人間だということです。
「やらせでしょ?」「受けがタイミング合わせて飛んでるんでしょ?」と言われてしまう所以です。

自分が経験しないことは信じられないのは普通ですよね。

合気道は上級者になるほど、無駄な動きがそぎ落とされます。
軽く動いているだけに見えるのに、相手が吹っ飛ぶ。
「やらせ」と感じるのも分かります。

でもやらせじゃないんですよ~。
どう説明すれば納得してもらえるでしょうか。

やっぱりすごい合気道

稽古を重ねて、受け身が取れるようになると、先輩方も「全」手加減から「半」手加減くらいで技をかけてくれます。
すると、全然違うんです。

「倒れる」のではなく「倒される」し、「受け身しに行く」のではなく「投げられたから受け身する」くらい変わります。
フルモードで技をかけてもらったら「いつのまにか投げ飛ばされていた」状態になります。
これって、伝説の先生方の神業に近くないですか?

とはいえ、先生や先輩は別に「神秘の力」を使っているわけではありません。
合理的な人の身体の動き方を読み解いて、技は組み立てられています。

走っている時につまづいたら、転びますよね?
片足立ちの時に、横から押されたら倒れますよね?
そんな人体の反応や理合を重ね合わせて、技は成り立っています。

しかし、私と先輩の次元は違うから「すごい」し、先生はもっと鍛錬してるから「すごすぎる」と感じます。
すごく鍛錬している先生はきっと、我々凡人から見たら神業の域にまで達するに違いない、と予想できるのです。

そこまで到達するには、才能も必要だろうけど、稽古の積み重ねが不可欠。
偉い先生方・強い先生方も「昨日の自分より強くなるために、今日も稽古しているのだ」とおっしゃいます。

最後に

合気道に興味を持ってくださった方、「やらせ」の有無を確かめてみたい方、是非お近くの道場へおいでください。

ただ、「やらせ」かどうか自分の身をもって確認するためには、準備が必要です。
どんな技をかけられても、きちんと受け・受け身がとれる体にならなければいけません。

そこまで稽古を続けたら、すでにあなたも合気道にズッポリはまってらっしゃるに違いない(笑)
奥深く楽しい合気道の世界へ、ようこそ!

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