東京に出掛ける用事があり、稽古に行けず。
代わりにずっと行きたかった投げっぱなし道場に参加。
廣末先生は想像通りのにこやかな先生でした。
「健康になりたい!」という目的で来る人もいるそうです。
「何でも質問してくれていいよん♪」というタブーなし、忖度不要の先生です。
これって、実はなかなか出来ないことでは。
先生が流派に所属せず、しがらみなく活動しているからかも。
稽古内容は他記事と同じく、私の解釈なので、間違っている可能性があります。
興味のある方は、参考までにどうぞ。
正しい内容は、直接、先生に聞いてくださいね!
⇒ワンコイン合気投げっぱなし道場ホームページ
⇒廣末先生のTwitterアカウント
圧の場所を変える
まずは座技呼吸法でコロコロ転がされる。次に、先生が私の両腕をつかむ。
「手首に接点があって、圧もここにある。まず、圧を肘へ移動させる。次は肩。そして、ここ(左肩甲骨辺り)へ動かしてみて。」
そこへ圧を移すように意識すると、簡単に転がせる。
「圧の場所は変えることができます。」
「圧をどこに置くか。どこに触れようが、圧が相手のここ(肩甲骨辺り)へ行くようにする。そうすると、倒すだけでなく、起こすこともできる。」
「この距離…1mくらい先のところに圧を置ける。この距離感を覚えておいてね。」
床に寝転がる。
両足持って引きずられる。
「今、どこに重心ありますか。どこが地面に一番接していますか」
背中の上辺りかな?
転がったまま、片足上げる。
その足の上に先生が体重かけるようにお腹をのせてくる。
「今は腿に圧かかってますね。」
「さっき、ひきずられて一番最初に赤く擦りむそうだった場所。ここに圧をかけましょう。」
自分の圧は自分の背中を意識、そして足は先生の背中の裏側を意識…先生を軽~く押し返すことが出来た。
相手のバランスの要部分を狙うことで動かす、ということかな?と思ったら、これはただの導入だった。
重要なのは自分のバランス
四つん這いになる。「今、手足をついた、真ん中の床辺りに自分のバランスありますよね。
それを保ったまま、その場所でグルグル回って。」
回る。
先生が私の肩をおさえると、回れず止まってしまう。
「おさえられた肩は気にしない。自分のバランスを保って回ることだけ考える」
あら不思議。
手でおさえられても、止まらず回れる。
「バランスが崩れたままで突破しようとしない。」
「相手に当たると、そこに当たりに行きたくなっちゃうよね。それか、力を逃したくなる。」
「でも、一番大事なのは自分のバランスを立て直すこと。」
立ち上がってジャンプする。
「重心を少しずつ、土踏まずと踵の境い目辺りに移してみて。」
「そうするとジャンプ出来なくなります。これがバランス取れてる状態。」
土踏まずと踵の境目のど真ん中がエッジ。
ここに頭からずーっと下までの体の重さを置く=脱力=力を抜くことではなく、息んでも力の入らなくなる自然体になる。
体重と衝突を常にエッジに合わせる。
相手に当たっても、自分はエッジから外れない。
そういう状態を保てるように稽古する。
ジャンプできなくなる状態になったら「その状態から歩いてみて。」
自然とすり足になる。
おお!本当のすり足ってこういうことだったの?
ただ、畳にズリズリ足裏をくっつけてればいい、と思ってた。
「本当に圧を置くべき場所は、この足の裏。」
「でも、最初から手をつかんで『圧を足の裏にかけてね』って言われても、イメージできないからね~。」
線の上を歩く。
線の横に先生が立っている。
すれ違う時に腕を出して先生に引っ掛ける。
入り身投げの要領かな?
自分のバランスが保ててると、先生は倒れる。
腕を気にしたり、投げようという気持ちが出ると、腕は先生に跳ね返るだけ。
「気持ちがこっちに寄り道したよね。まっすぐ自分のバランスだけ考えて歩こう」
武道で使うのは筋力じゃなくて、重力。
バランスがしっかり取れてると、重みが出る。
同じパンチや突きでも、威力倍増。 (本物のサンドバッグ、パンチさせて貰えばよかったな。)
そして合気道では体重をぶつけたり引っ張ったりするのではなく、体重に伴う重力、自重を使う。
相手をこの重力に触れさせるだけで、相手は勝手に倒れる。
私が腕を気にしがちなので、腕を使わないやり方で。
四つん這いになり、自分のお腹の下の床辺りにバランスがあることを意識する。
その状態で進んで行って、正座してる人に頭突き。
これだと接点を気にする前に、相手を倒せる。
上手く行く回数が多かった。
「腕とか、相手と接している先端じゃない。問題は、自分のバランス。これをしっかり保つこと。」
うーむ。
秘伝はシンプルなものなんだな。
そのシンプルなことを、いつでもどこでも出来ているようにするのが難しいんだけど。
確かに、うちのT先生を始め、先生方は「重い」感じ。
体重の問題ではなく、地面に生えているかのように、どっしりと安定している。
あの安定感は、常に自分のバランスが保たれているからに違いない。
自分自身がグラグラなのに「相手のバランスを崩して投げよう」なんて、技が決まるわけなかった。
相手をどうこうする前に、自分を何とかしよう!
捻りまくる
合気道の技も、先生にかかるとスッキリ整理されてしまう。基本はねじること。
「2mの紐をヨイショヨイショと手繰り寄せるのは大変だよね。だから、ひょいと手首ひねったりするじゃない。
人間の体も同じ。2m長さの靭帯の紐だと思って。それをねじる。」
「ティッシュもねじると、こより状になって、最終的にはどこかがブチッと切れるでしょ。それと同じで、人間の体をねじり、ねじれなくなったら、どこか一部を意識する。」
「手首なら二教、肘なら三教。
こっちに捻っていけば四方投げ、小手返し。捻じって下ろせば回転投げ。
入り身投げは相手全体を大きく捻って…逆回りに捻って投げる。」
ねじるのは難しい。
自分のバランスを整え、相手の手首の細い部分を無心にねじる。
やりにくくなったら手を持ち替えてもいいけど、ねじりは途中で止めない。
腕だけではなくて、腕からずっーと相手の足先まで意識してねじる。
乱取りに挑戦
最後は乱取り。ひとりに次々とつかみかかっていく。
コロコロと軽く転がされる。
皆さん、男性なので、その気になれば力でも私なぞ投げられる。
でも、力は感じない。
フワッとスカッと投げられる。
合気道の稽古中も、スパーンと技が決まって投げられるのは、楽しい。
同じように勢い良く投げられても、技が決まってるのと、力尽くなのは、全然違う。
力で無理やり投げられるのは、楽しくない。
拒絶されたような、フラれたような?なんか嫌な感じ。
この乱取りは、そういう意味で楽しかった。
みんなニコニコしながら、投げ、投げられ、してました。
これ、会得したいなぁ。
多人数掛けで、華麗に捌いて投げるのが夢(笑)
最後に
相手をどうするかではなく、まずは自分のバランスを保つことが大事と分かった。先生も、普段の生活の中でいつもバランスを保つようにしているそう。
別にすり足である必要もない。
普通に歩いていても、座っていても、寝て起き上がる途中でも、自分自身に「今バランスどこ?どこにある?」と常に問いかける。
そこから絶対に目を離さないこと。
バランスを保つと体は楽になるし、前屈みになって眉間にしわ寄せたりもなくなる。
先生の笑顔の理由が分かった。
会った瞬間からずっーと笑顔。
「バランス取れてると、体が楽。体が楽だと気持ちも楽。心身共に楽だと、生きるのも楽。自分が楽だと周りも楽にすることが出来る。これが合気、かもね。」
先生の笑顔と周りを明るくする雰囲気を見ると、納得。
ふと思ったのだけど、常にバランスを保つ=いつも床、地面を意識する→→→地球と一体化するってことかも?
おお、なんか大先生の「宇宙とひとつになる」的な壮大さへの第一歩かも知れない、と勝手に思ったりして。
難しいことを、シンプルに教えてもらえました。
難しいことを難しく教えられると、私には理解不能。
機会があったら、また教えてもらいに行きたいです。